山崎豊子★大地の子（全４巻・完結）★ 文春文庫
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「大地の子（１～４）」 １９９６年、１０から１６刷
定価 各巻 ５２４円＋税 ３６１頁～３９７頁
陸一心は、敗戦直後に祖父と母を喪い、妹とは生き別れになった日本人戦争孤児である。本名は松本勝男。文化大革命では日本人であるがゆえにリンチを受け、労働改造所に送られ、スパイの罪状で１５年の刑を宣告される。使役の日々の中で一心が思い出すのは養父・陸徳志の温情と、重病のときに助けてくれた看護婦の江月梅のことだった。
日本人ゆえの苦難の日々を経て、彼はようやく日中共同の大プロジェクトである製鉄所の建設チームに加えられた。一方中国に協力を要請された日本の東洋製鉄では、松本耕次を上海事務所長に派遣する。松本はかつて書いた件の一員として満州に渡り、妻子と生き別れになっていた。
陸一心こと松本勝男は３６年ぶりにめぐり合った妹あつ子に泣いてわびた。妹は寒村で過労の果てに病の床に会ったのだ。兄妹の実父・松本耕次は、子どもらの消息を掴めぬまま、奇しくも親子と知らずに一心と日中合作の製鉄所建設に参加していた。
７年がかりで日中共同の大プロジェクトの製鉄所に火が入る。この間日中では、スパイの疑惑やら不信感、憎悪が双方にわだかまりを見せていたが、この瞬間、万雷の拍手と歓声に打ち消される。松本父子もお互いを認め合う。そして陸一心の選択は。
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